「ミソニノミコト」1巻(PAPA)

ミソニノミコト (1) (まんがタイムKRコミックス)

ミソニノミコト (1) (まんがタイムKRコミックス)

高校三年生の瑞穂は、高校に近いという理由で祖母のシズエの家に居候している。冬には大学受験が控えていることもあり、来週から始まる夏休みを手放しで喜べない瑞穂がふと神棚を見上げると、そこから女の子が現れた。彼女は「鯖味噌煮命(サバノミソニノミコト)」という神様で、毎日神棚に向かって孫の合格祈願をするシズエの願いを叶えるためにやって来たのだと言う。しかしその名前が示す通り、ミソニはサバの味噌煮を司る神様であるため、料理はともかく勉強では全く役に立たない。かくして、神様とは名ばかりのミソニとの奇妙な同居生活が始まる。

外国に比べて宗教への信仰心が薄いせいか、日本には宗教を題材にしたギャグ漫画が多く存在する。この作品もその一つだが、ミソニを初めとした作中の神様の大半は当作品オリジナルの神様である(おからを司る「ウノハナヒメ」、舞茸を司る「マイタケヒメ」)。実在するのは、稲荷神社のウカノミタマくらいか。
それでいて、神道の思想をミソニが真面目に解説する話もあり、とはいえ基本的には難しいことを考えずに読めるギャグ4コマなのが、この作品の魅力でもある。神仏習合をうどんとカレーに例える学習漫画のような展開の直後、唐突に皆でアイスを食べる日常話に変わり、バニラアイス入りかき氷はまさに神仏習合のようだというオチで終わる第5話は、その最たる例だろう。作者の技量もさることながら、他教の神様をも受け入れた神道の「ゆるさ」がこの作品を生み出した土壌になっているのかなと思う。単行本にはミソニの神札がおまけとして付いているが、そもそも神道の神様も大半は想像の産物なのだから、この神札を神棚に飾ったとしても罰が当たらないどころか、本当にご利益さえあるかも知れない。

内容もさることながら、この単行本を読んで一番印象に残ったのは、PAPAさんの絵の上手さだった。写実的という意味ではなく、4コマなのに動きがあるという意味で。走っているシーンは走っているように見えるし、踊っているシーンは踊っているように見える。当たり前のように聞こえるが、コマの小さい4コマでそれを描き切るのは難しいだろうと、絵に関しては素人の自分でも分かる。ミソニが色々なポーズを取っているのを見ているだけでも面白い。