『どうして私が美術科に!?』1巻(相崎うたう) 感想

 

間違えて美術科に

美術科が存在する学校を舞台にした4コマは、『ひだまりスケッチ』『GA-芸術科アートデザインクラス-』などが挙げられる。

これらの作品に登場するキャラクターの中には、将来はプロの芸術家になれるような天才もいれば、そこまでの才能はない凡人もいる。

彼女たちに共通しているのは、絵を描くのが大好きで、自分の意志で今の学科に進む道を選んでいることだ。

そうでなければ、課題が多くて満足に遊ぶこともできない美術科になんて入らないだろう。

 

この作品、『どうして私が美術科に!?』の主人公である酒井桃音は、普通科と間違えて美術科に入ってしまうという、美術科4コマの常識を覆すキャラクターだ。

桃音以外の登場人物も、美術科の生徒として順風満帆な学校生活を送っているわけではない。

親に薦められて美術科に入った竹内黄奈子。現代アートを好むが、どこかセンスがずれている浦上紫苑。幼馴染の紫苑を追いかけて美術科に入った河鍋蒼。黄奈子の中学時代の先輩だが、留年しているため今は同級生の菱川翠玉。

桃音はそもそも美術のスキルがなく、他の4人は真面目に授業を受けていないせいで、放課後は毎日居残り製作を行っている。

 

どこにいるかではなく、何をするか

居残りというとネガティブな印象を持ってしまうが、放課後の美術室に集まる桃音たちはむしろ楽しそうで、まるで部活動を行っているようにさえ映る。

入学した経緯もあり特に美術に興味がなかった桃音は、黄奈子たちと同じ時間を過ごすうちに次第に美術が好きになっていく。

美術科にいる意味を見つけられず学校を辞めようとしていた黄奈子は、一生懸命に課題製作に打ち込む桃音を見てここが自分の居場所なのだと思い直す。

 

程度の差こそあれ、桃音のような経験をした人は多いのではないだろうか。

第一志望の大学に受からず、滑り止めの大学に進学する。就職活動が思うように進まず、一つだけ内定をもらえた企業に就職する。

自分の望み通りの人生を送っている人の方が少ないかも知れない。

 

思い切って編入や転職をするのも良いが、立ち止まってそこでしか経験できないことを探すのは決して後ろ向きな選択じゃない。

悩みながらも前に進もうとする桃音たちを見ていると、そう感じる。

 

Twitter連動企画も

単行本1巻の発売に合わせて、2017/3/27〜4/26にかけてTwitterで「『どうして私が美術科に!?』第1巻発売記念フォロー&RTキャンペーン」が行われた。

RT数に応じて待ち受け画像や描き下ろし漫画が公開されるという内容で、最終的には目標の2000RTを達成した。

せっかく応募しても抽選のプレゼントに外れてしまうとがっかりするので、応募者全員が得をするこのような形式はありがたい。

 

気になったのは、この記事を書いている2017/5/25時点でのRT数が2406と、目標の2000RTに比較的近いところ。

作者の相崎うたうさんはこの作品が初連載かつ初単行本なので、このような企画を開催してどれくらい人が集まるかは予測が難しいと思うが…。

やはり、出版社にはそういうノウハウが蓄積されているのだろうか。