「TCGirls」1巻(もみのさと) 感想

 

女の子だってデュエルがしたい

決闘者(デュエリスト)――TCGをこよなく愛する者――小柴アンは、高校入学を機にカードショップ「Aster」でアルバイトを始める。

アン以外の登場人物も、Asterの店長である葉波シオン、Asterに通いつめる小学生(?)御厨メイ、何かを持つ手が好きという特殊な嗜好を持つ大泉マナ、隠れデュエリストの鵜池ニイナと、全員が女の子。

 

TCGを知っている人なら思わずクスリとしてしまう小ネタと、可愛い女の子たちの日常を組み合わせた作品、それが「TCGirls」だ。

男の子の趣味という印象が強いTCGも、女の子が遊んでいるとまるでカードがおしゃれな小物のように見えてくるのだから、不思議なものだ。

 

アンの周りに集まる人々

日常4コマには、主人公がはっきり決まっていない作品が多い。

「日常4コマ」の定義は人によって異なると思うが、この記事では前回の記事で紹介した部活4コマと対比して、主人公の成長を主題にしていない作品のことと思っていただきたい。

 

主人公を成長させなくてよいのであれば、他のキャラクターを中心に据えた話や、時には主人公が全く登場しない話も描ける。

それならいっそ、最初から主人公を設定しない方が作品に多様性が生まれるのかも知れない。

 

しかし、日常4コマ「TCGirls」の主人公は間違いなくアンだ。

可愛くて一癖あるキャラクターが揃う当作品の中でも、アンの存在感は際立っている。

 

まず、高校生になると同時にアルバイトを始めてしまう行動力に感心する。

TCGに注ぎ込むお金が欲しいからだと思われるが、特にコネがあるわけでもないAsterを自分で探して応募したのだから、理由はどうあれ立派である。

 

また、アンがアルバイトを始めたことで、Asterを取り巻く人間関係はがらりと変わった。

それまで店員と客の関係でしかなかったシオンとメイは友達のように接するようになり、カードショップに興味がありつつも中に入れなかったニイナもAsterを訪れるようになる。

どちらも、アンが繋いだ縁だ。

 

TCGが繋ぐ友情

日常4コマなのに、なぜアンは明確に主人公として描かれているのか?

それは、アンが既に成長を経験しているキャラクターだからだろう。

 

良くも悪くも騒がしく、周りを振り回す。そんな今の様子からは想像もつかないが、小学生時代のアンは人見知りの女の子だった。

しかし、弟に影響を受けて始めたTCGをきっかけに、対戦相手を求めてアンは学校のクラスメイトたちに勇気を出して話しかける。

クラスメイトたちは、喜んでアンを受け入れた。

もし好きになったものが対戦相手を必要としない一人で遊べるゲームであれば、アンは今も人見知りのままだったのかも知れない。

 

そのときの体験があるからこそ、アンはTCGが好きな人を分け隔てなく愛する。

年下のメイや、初心者のニイナも例外ではない。

 

ただ、アンは自分が特別なことをしているつもりはないのだろう。

対戦相手を尊重する、それはデュエリストとして当然備えておくべきマナーなのだ。