まっしろライター

フリーライター・ましろのブログ。マンガ(4コマ)のレビューや、日々思っていることなどを書いています。お仕事募集中。

『恋する小惑星』Quro 学級文庫に置いてほしい、天文・地質4コマ

一緒に小惑星を見つけよう。

その星に、君の名前をつけてあげる。


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引用:『恋する小惑星』(「まんがタイムきららキャラット」2017年3月号149ページ)

夏の夜の、一夜限りの約束。忘れたことなんて一度もない。


Quroさんが「まんがタイムきららキャラット」で連載中の、『恋する小惑星(アステロイド)』

単行本1巻が、3月27日に発売される。




約束で結ばれた、ふたつの心

木ノ幡みら(このはた・みら)は、子どものころに参加したキャンプで、「アオ」という名前の男の子に出会う。

みらの名前を聞いて、アオは目を輝かせる。くじら座の変光星「ミラ」と同じだ、と。アオは、星が好きな男の子だった。

高校生になったみらは、あの夜に交わした「新しい小惑星を見つけて、アオの名前をつける」という約束を果たすため、地学部に入部する。

そこには、アオがいた。フルネームは真中あお。

だが、あおは――女の子だった。


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引用:『恋する小惑星』(「まんがタイムきららキャラット」2017年3月号150ページ)

きらら的にはむしろOK。


「むかし一緒に星を見たとき…みらが喜んでくれたから…」「もっと色んなもの一緒に見たいなぁって思った…」


あおはカバンに、くじらのマスコットをつけている。みらの名前を忘れないようにするためだ。

みらが部室に見学に来たとき、あおはもう地学部に入部していた。みらとの約束を叶えるためだ。

二度と会えなくても、あおはひとりで約束を果たすつもりだった。けれど、また会えた。覚えていてくれた。うれしくないはずがない。

約束への想いは、みらよりも、あおの方がずっと強い。



これまでに発見されている小惑星の数は、約50万個。

未発見のものは数十万個あるとされているが、言いかえると、最新の望遠鏡でも観測できないほど小さくて暗いものしか残っていないということ。

普通の高校生が新しい小惑星を見つけられる確率は、限りなくゼロに近い。

「見つけられたらいいな」と、無邪気に考えていたころとは違う。

知識が増え、背も伸び、夜空との距離が縮まったからこそ、その距離の途方もなさにあおは気づいている。


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引用:『恋する小惑星』(「まんがタイムきららキャラット」2017年7月号139ページ)

会えないときも、みらはずっとあおを照らしていた。


その話を聞いても、みらはくじけない。むしろ、あおとの約束を叶える決意を固めていく。

みらは、誰と一緒にいるかで印象が大きく変わるキャラクターだ。

幼馴染の鈴矢萌(すずや・もえ)や、地学部の先輩たちといるときは、手がかかる妹のような存在として。

あおといるときは、物静かな彼女のよき理解者、代弁者として。



それは、あおも同じ。

昔は男の子っぽい外見でおしゃべりだったが、今は髪が長く、口数も少ない。典型的な、文化部にいそうな女の子。

けれど、星が好きな気持ちは少しも変わっていない。それどころか、みらと再会してからどんどん強くなっている。

冗談半分で、みらが先輩に取られそうになったときは、鬼のような形相を見せたこともある。

「アオ」という星もまた、変光星なのかもしれない。


夜空と地上のあいだには

みらは元々、「天文部」に入るつもりだった。だが、実際に入ったのは「地学部」

部員減少などのあおりを受けて、今年から天文部は地質研究会と合併し、地学部になったためだ。

合併をしたものの、活動フィールドは「天と地ほど」違う。天体観測がしたい部員は天文班、地質や石を調べたい部員は地質班に分かれて活動している。


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引用:『恋する小惑星』(「まんがタイムきららキャラット」2018年2月号128ページ)

地質班が拾う石も、地球の一部。「宇宙から見たらどっちも一緒」という作中のセリフは、強ち間違ってはいない。


「モンロー先輩」こと、天文班の森野真理(もりの・まり)。包容力のある頼れる部長だが、実は彼女にも「宇宙飛行士になる」という夢がある。

「イノ先輩」こと、地質班の猪瀬舞(いのせ・まい)。地図を見るのが好きで、飛び地めぐりというマニアックな趣味を持つ。



そして、「桜先輩」こと、地質班の桜井美景(さくらい・みかげ)。

勝ち気な性格で、班の人数比にこだわる。地質研究会の会長になるはずだったのに、地学部に合併したせいで副部長どまりなのを気にしているのかもしれない。

人数が1人多い、みらたち天文班への当たりは厳しい。しかし、桜は決して、彼女たちの夢を否定しない。


「応援してるんだから頑張んなさいよ」「自分の夢を遠慮なんてしないでよね……!?」


大きすぎる夢で恥ずかしいと言う部長を、桜はそう叱責する(本人は「激励」のつもり)。

桜にはまだ、夢がない。だから、すでに具体的な目標を持っている他の部員たちを、本当はうらやましいと思っている。不器用なだけなのだ。



「新しい小惑星を見つける」という、みらとあおの夢は、突拍子もないように感じるかもしれない。

しかし。宇宙飛行士になる。地図を作る。ベクトルは違えど、同じくらい大きな夢を持つ部員たちがいることで、ふたりの夢は特別なものではないと気づかされる。

宇宙には無数の小惑星が存在するが、ぼうっと空を眺めていても発見できない。「見たい」と意識して、望遠鏡を用意して、初めて光が見えてくる。

見ようと思わなければ見えないだけ。誰の心の中にも、小惑星はきっとある。


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引用:『恋する小惑星』(「まんがタイムきららキャラット」2017年9月号220ページ)

趣味と部活動を切り離して考えていたイノ。みらたちに宝の地図を描いてあげたことがきっかけで、彼女の「好き」は「夢」に変わった。


みらたち天文班は夜空を見上げ、桜たち地質班は地面を見下ろす。

見ている方向は正反対。けれど、その視線の先は同じ――「夢」につながっている。