「黒髪巫女とマリアウィッチ」1巻(内藤隆) 感想

 

相思相愛の二人

猫をご神体として祀る神社、猫街天神の娘である美原頼子は、幼い頃の体験がきっかけで魔法使いにあこがれるようになった。

ある日、猫街天神の近くに魔法工房「まぎとりえ」がオープンする。

工房で働いていたのは見習い魔法使いのマリア・ノーザンライトで、金髪にオッドアイという彼女の容姿はかつて頼子が出会った魔法使いそのものだった。

日本文化に興味があるマリアにとっても、長い黒髪に巫女装束が似合う頼子は憧れの対象であり、二人はすぐ友達になる。

 

作中の日本では「魔法」と「魔法使い」の存在は広く知られているが、人間と魔法使いが交流する機会はあまり多くないらしい。

憧れつつも7年近く魔法使いに会えなかった頼子は、マリアとの出会いをきっかけにその想いを爆発させる。

趣味の裁縫を活かして衣装を作ってはマリアに着せて写真撮影をしたり、部屋にはマリアのポスターやぬいぐるみが飾られていたり、果てにはマリアの寝姿をプリントアウトして抱き枕を作ってしまう。

外国の女の子が好きという設定は「きんいろモザイク」のシノを思い出させるが、危なっかしさはある意味シノ以上だろう。

 

ただ、読んでいて不思議と背徳感は感じない。

むしろ、仲良しの姉妹がじゃれ合っているような印象を覚える。

言動の危うさとは裏腹に、頼子はマリアの嫌がる行為は決してせず、友達として心から大切に想っているのが伝わってくるからだ。

 

また、マリアも決して常識人ではなく、妹のクロエと競うように頼子に対して小悪魔的なアピールをする場面もある。

良くも悪くも二人のバランスが取れているので、この関係が普通に見えてしまうのかも知れない。

 

イベント全部盛り

「黒髪巫女とマリアウィッチ」1巻の内容は、大きく「プロローグ」と「本編」に分けられる。

プロローグは、まんがタイムきららキャラットでゲスト作品として掲載された前半3話で、作品の世界観や頼子たちのキャラクター紹介という側面が強い。

 

ゲストを経て連載が始まった4話以降の本編では、各季節の行事を頼子たちが楽しむという形式が定着する。

具体的には、海水浴、夏祭り、ハロウィン、クリスマス、初詣、バレンタインを作中に登場している。

これらのイベントは漫画を盛り上げるために欠かせないが、毎回何かしらのイベントをしている作品は珍しい。

2巻以降のネタがなくならないだろうかと、勝手に心配してしまうほどだ。

 

日本特有の行事はもちろん、元々は海外の行事であっても、マリアとクロエは初めて体験するイベントであるかのように目を輝かせる。

日本のハロウィンやクリスマスは大騒ぎするのが目的になっていて、行事本来の意味を理解していないという批判もあり、確かに一理ある。

ただ、海外のイベントを独自に発展させて新しいイベントに変えてしまうのは、日本文化の特徴だろう。

 

可愛くて丁寧な絵柄。海に近い古都(おそらく鎌倉がモデル)の情景。多種多様な日本のイベント。

マリアのような、日本文化に興味がある外国の方にこの作品をおすすめしたい。

あながち冗談ではなく、良い発信源になるのではないだろうか。