こんにちは。「まっしろライター」のましろ(@mashirog)です。
1990年代後半から2000年代にかけて数多くの作品を発表し、4コマ界を代表するマンガ家のひとりだった小笠原朋子さん。
近年は表立った活動を行われていませんでしたが、今年配信された電子書籍限定の4コマ雑誌『4コマCOMICはぐ!』で、数年ぶりに作者の4コマを拝読することができました。
それを記念して、Kindleで読める小笠原朋子さんの4コマの中から、特にオススメの10作品を紹介したいと思います。
「Kindle Unlimited」の読み放題対象作品も多いので、年末年始のお供にいかがでしょうか?
小笠原朋子さんの4コマの特徴について
4コマファンであれば知らない人はいないと思う小笠原朋子さんですが、念のため少しだけ説明させてください。
小笠原朋子さんの4コマは、とにかく「設定のバリエーションが豊富」なんです。
どの作品も現代日本が舞台で、ファンタジーな世界観というわけではないものの、登場人物たちがいずれも曲者ぞろい。
これから紹介しようとしている作品から抜粋するだけでも…、
- 隠し子がいる大人気男性俳優
- 結婚して一緒に暮らしている男性教師と女子高生
- 学校を私物化している生徒会長
- 女装が似合う男子高校生
- 顔は怖いけど人見知りな女子中学生
- 双子なのに見た目も性格も似ていない姉妹
- 娘よりも可愛い母親
…という具合。
ほとんどが10年以上前の作品なのに、今のマンガ・アニメでもよく見かける設定もある気がします。先見の明があったということなのでしょう。
また、どの作品も3巻以下で完結しているため手に取りやすく、気軽に様々な設定の作品を楽しめるのも、小笠原朋子さんの作品をおすすめできる理由のひとつです。
オススメの小笠原朋子作品10選
『ウワサのふたり』
- ジャンル:ファミリー
- 巻数:3巻(+単行本未収録エピソードをまとめた「3.1」)
- Kindle Unlimited:○
元アイドルで、今は人気俳優として活躍する弓削誠(ゆげ・まこと)。実在する芸能人に例えると…誰だろう?(流行りにうとい)。
そんな彼のもとに、娘を名乗る一花(いちか)が突然やって来たところから物語は始まります。
ふたりの関係を探ろうとする個性的な登場人物たち、誠と一花の家族愛、一花の担任の先生とのラブコメ展開など、小笠原朋子さんの作品に欠かせない要素がすべて詰め込まれています。
何から読んでいいか分からないという方は、まずこの作品を読んでみてください。それくらいおすすめ。
『せんせいとわたし』
- ジャンル:ラブコメ
- 巻数:3巻
- Kindle Unlimited:○
女子高生の奥さん・菜穂と、担任教師の旦那さん・聡の禁断の夫婦。今なら完全にアウト…というか昔からアウトです。
こういう設定の作品は「背徳感」を売りにするものですが、この作品の場合はあまりシリアスな展開にはなりません。純粋に年の差夫婦のコメディとして楽しめます。
さらに面白くなるのは、2巻で転校生の京子が登場してから。菜穂をライバル視している上、ふたりの関係を知らずに聡を好きになってしまうなど、存分に物語をかき回してくれます。
一方で、意外と友達思いな一面も…。小笠原朋子さんは、こういう「悪役になりきれない良い子」を描くのがうまい。
『悪の生徒会長』
- ジャンル:ラブコメ
- 巻数:2巻
- Kindle Unlimited:○
容姿端麗・成績優秀な生徒会長の日下部めぐみ。しかし裏では、生徒会費を使い込みするなどの悪事を働いていました。
最初のころは傍若無人な言動が目立っていましたが、次第にピュアな一面や、恋する女の子としての一面も描かれるようになります。
小笠原朋子さんの作品は、登場人物の性格や役割が決まっておらず、連載が進むにつれて自然に変わっていくのも特徴のひとつです。めぐみは、それをより顕著に感じられるキャラクターでしょう。
また、他の生徒会メンバーも粒ぞろいで、個人的には書紀の丘野周子が特にお気に入り。彼女は小笠原朋子作品の3大ヒロインに入ると思っています(残り2人は後述)。
『Hiスクラップ!!』
- ジャンル:ラブコメ
- 巻数:1巻
- Kindle Unlimited:○
転校生の亜季は、女の子よりもかわいい男の子。
亜季はクラスメイトの理子が好きで、理子は学級委員長の男子・麻生が好きで、麻生は亜季が好きという、奇妙な三角関係が繰り広げられます。
その容姿ゆえに、作中ではよく女装をさせられる亜季ですが、いわゆる「男の娘」ではありません。
むしろ本人は男らしくなりたいと思っていて、口調も乱暴。そこが逆にかわいい。小笠原朋子作品の3大ヒロインその2です(冗談ではなく)。
『あしたも嵐!』
- ジャンル:ファミリー
- 巻数:1巻
- Kindle Unlimited:○
3兄妹の末っ子・嵐(あらし)は、両親が海外で仕事をしているため、長男の龍太郎や次男の虎二郎と助け合って暮らしています。
見どころは、なんといっても嵐の可愛さ。目つきは悪いのに人見知りで、虎の赤ちゃんを見ているような気分になること請け合いです。
また、この作品は芳文社刊の『山の上歌劇団』のスピンオフにあたり、もともと虎二郎はそちらの作品のキャラクターです。
とはいえ、この作品だけでも問題なく楽しめるのでご安心ください(欲を言えば、『山の上歌劇団』もKindleで配信してほしい…)。
『ウチヘ行こうよ!』
- ジャンル:ラブコメ
- 巻数:1巻
- Kindle Unlimited:×
付き合い始めたばかりの恋人・ゆりえの家に招かれた明彦は、そこで母親のこずえに出会います。
こずえは高校生の娘がいるとは思えないほど若くて可愛く、明彦はこずえのことも好きになってしまうのでした。
作者自身も「超やっかいな子」だったと語る問題作。明彦がゆりえとこずえのどちらを選ぶのか、結末は実際に読んでお確かめください。
また、こずえこそ小笠原朋子作品3大ヒロインの最後のひとりです(娘の方ではなく)。
『ゆなさなニッキ』
- ジャンル:ファミリー
- 巻数:1巻
- Kindle Unlimited:○
双子の姉妹である祐奈(ゆな)と佐奈(さな)。しかし、姉の祐奈は背が低いけど大人びていて、妹の佐奈は背が高いけど子どもっぽい。
佐奈は姉が大好きでいつもまとわりついていて、祐奈も本当は妹が好きなのに素直になれない。
見た目も性格も正反対なふたりですが、心の奥深くでは通じ合っている。そんな姉妹愛が作品全体から伝わってきます。
単行本は発売されていないため、読めるのはキンドルのみ。ぜひこの機会に。
『パラダイス*ホテル』
- ジャンル:ラブコメ
- 巻数:1巻
- Kindle Unlimited:○
失恋の傷を癒やすために訪れたホテルにそのまま就職した小川さやかと、その恋敵の弟である恩田和人が再会したところから始まるラブコメディ。
さやかと和人は、双葉社刊の『さくらハイツ102』に登場していたサブキャラクターで、この作品はその続編・スピンオフにあたります。
この作品単独でもストーリーは完結していますが、より楽しむためには『さくらハイツ102』を先に読んでいただきたい(古本しか入手方法はありませんが…)。
『さくらハイツ102』のさやかは名脇役で、この子にも幸せになってほしいと思っていたので、彼女が主役の作品を読めるというのが本当にうれしいです。
『たびのほん』
- ジャンル:エッセイ
- 巻数:1巻
- Kindle Unlimited:○
こちらは、フィクションではなくエッセイ作品。
秋田書店やぶんか社の実話系マンガ雑誌に掲載されていた、作者の海外旅行記を1冊にまとめたものです。
こんなに都合よく、マンガのネタになるようなトラブルや人たちに遭遇するだろうか? と思ってしまいますが、何気ない出来事でも作品に仕上げてしまうのがマンガ家なのでしょう。
何より一番面白いのは、一緒に旅行に行っている同業者の師走冬子さん。本人が描かれるマンガのキャラクター以上に、師走冬子さん自身が可愛いという…。
『おともだち以上』
- ジャンル:ラブコメ
- 巻数:1巻
- Kindle Unlimited:×
好きになった男の子に告白するため、アイドルグループを卒業した琉花(るか)。
意中の相手は、冴えないメガネモブ男子。それでも琉花にとっては王子様。今どき少女漫画でも見られないような、あまりにもピュアなふたりのやりとりに胸キュン必至です。
前述の電子書籍限定の4コマ誌「4コマCOMICはぐ!」に収録されている作品で、単独(25ページ、108円)での購入もできます。しかし、ここはぜひ「4コマCOMICはぐ!」全体を読んでいただきたいところ。
小笠原朋子さんを始め、師走冬子さんや弓長九天さんといった4コマ作家の新作マンガが105ページで270円って、超お得ですよ?