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【特集】4コマ界の新星!「シリウス乙女座」新刊3作品一挙レビュー

こんにちは。「まっしろライター」のましろ(@mashirog)です。

私がよく読んでいる4コママンガは、主に月末に単行本が発売されます(「まんがタイムきらら」「コミックキューン」の掲載作品など)。

先月末も何を買うか、Twitterで新刊情報をチェックしていたところ、こんなツイートが目に飛び込んできました。

 

「シリウス乙女座」ってなんだ…? 新しい4コマ誌か…?

気になって「シリウス乙女座」とGoogle検索してみても、実際の星座のページくらいしかヒットしない。

自分の守備範囲の狭さを恥じつつ、しかし4コマが3冊同時発売とあっては、スルーするわけにはいきません。

この記事では、「シリウス乙女座」とは何なのかと、1月26日に発売された新刊3作品のレビューをまとめて書きたいと思います。

「シリウス乙女座」とは?

「シリウス乙女座」(「シリウス4コマ劇場乙女座」)は、講談社のマンガ雑誌「月刊少年シリウス」内に設けられた4コマコーナーです。

2017年1月号で別冊小冊子としてスタートし、以降は雑誌の中に4コマ作品をまとめて掲載する形となっています。

 

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引用:「月刊少年シリウス」2018年3月号 Kindle版サンプル 目次

開始当初の作品は、『おおきなのっぽの、』『にちぶっ!』『漫画家ちゃんは眠れない』『水曜日の夜には吸血鬼とお店を』の4つ。

『おおきなのっぽの、』はその前から連載されていたため、「シリウス乙女座から生まれた」と呼べる作品は、『にちぶっ!』『漫画家ちゃんは眠れない』『水曜日の夜には吸血鬼とお店を』の3つになるでしょう。

「月刊少年シリウス」は少年マンガ雑誌ですが、シリウス乙女座の3作品は絵柄・内容ともに紛うことなき「萌え4コマ」です。

作者の方々の経歴を調べてみたところ、いずれも過去の主なお仕事はライトノベルの挿絵やゲームの原画で、4コマは初挑戦とのこと。

イラストレーターが一堂に会して萌え4コマを描くという光景は、先日休刊してしまった、芳文社の「まんがタイムきららミラク」を思い出します。

前置きが長くなりましたが、1月26日に発売された新刊3作品を見ていきましょう。

 

「シリウス乙女座」新刊3作品レビュー

『にちぶっ!』(石川沙絵)

帰国子女の菊理ちなつは、部活説明会で『藤娘』を踊る少女に心を奪われ、日本舞踊部への入部を決意します。

しかし部室で行われていたのは、練習ではなくお茶会(しかも紅茶やハーブティー)。ちなつが舞台に上がれる日は来るのでしょうか。

 

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引用:『にちぶっ!』1巻61ページ
枠の外まで描き込まれていることで、手前のコマが浮き出ているようにも見える。

タイトルやあらすじからも想像できる通り、「部活をしない部活もの」の流れをくむ日常4コマ。

その中で、この作品が持つ最大の魅力は、なんといっても圧倒的な絵の上手さ、キャラのかわいさでしょう。

日部(日本舞踊部)の女の子たちのお話ということもあり、色鮮やかな柄の着物、季節の草花、おしゃれな小物などが、コマの枠を飛び出して画面を彩ります。

ちなつ以外の部員は、日舞の家元の娘である藤花らん、いつもお茶を淹れている桂木あこ、小さくてゲーム好きな小桃乃みみ先輩と、これまたバリエーション豊か。

しかし、ここはやはり主人公のちなつに注目したいところ。主人公が帰国子女の4コマって、ありそうでなかった気がします。

海外暮らしが長かったせいか、スキンシップ過多で、日本の常識には疎い。それでも藤娘の舞に惹かれたのは、彼女の中に日本人の心があるからなのでしょう。外国人でなく、帰国子女であることに意味があるのです。

 

『漫画家ちゃんは眠れない』(ゆあみ)

白咲こころ(ペンネーム:抹茶みるく)は、雑誌でデビューしたばかりの女子高生漫画家。

友達には漫画家になったことを伝えられていませんが、マンガの仕事と学校生活を両立させるためにこころは奮闘します。

いわゆる「漫画家マンガ」は、ネタが浮かばない、人気が出ないなど、「産みの苦しみ」を表現した作品が多い印象です(作者の心情が反映されやすいからでしょうか)。

こころも新人漫画家ではあるものの、仕事の方は比較的順調で、1巻の終盤には単行本も発売されました。彼女の妹で、先輩漫画家でもある心愛(しあ)にいたっては、アニメ化も決定。

代わりにこころを悩ませているのが、マンガ家デビューしたのを友達に黙っていることです。

言ったら距離を置かれてしまうとかではなく、描いているのが恋愛ものなので単純に恥ずかしい。そりゃあ、普通は描いたマンガすら見せたくありませんよね。

 

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引用:『漫画家ちゃんは眠れない』1巻71ページ
こころの髪をもふもふしたい…。

また、この作品はシリウス乙女座で唯一のワイド4コマでもあります。

1コマに多くのキャラを出すためと思われますが、こころのボリューミーな髪を描いてもコマが窮屈にならないというメリットもある気がします。むしろ、ワイド4コマだからこその髪型かもしれません。

 

『水曜日の夜には吸血鬼とお店を』(羽戸らみ)

水曜日の夜にしか営業しないゴスロリショップ。そこは、吸血鬼の少女が働くお店でした。

ビルのオーナーの孫娘である理沙は、そのお店でアルバイトをすることに。理沙のクラスメイトや、異世界の常連客たちも交え、少し不思議な日常が繰り広げられます。

 

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引用:『水曜日の夜には吸血鬼とお店を』1巻62ページ
全身の絵だけでなく、空いたスペースではきちんと4コマが描かれているのもポイント。

『にちぶっ!』が着物なら、こちらはゴスロリ・甘ロリ。

ロリータファッションといえば、服だけでなく、かわいい靴や柄の入ったタイツも魅力のひとつですよね。

ひとつのコマが小さい4コマではバストアップの絵が多くなりがちですが、この作品では4コマぶち抜きの手法を効果的に使い、耽美な衣装をあますところなく見せてくれます。縦長の4コマならでは、とも言えるでしょう。

あと、個人的なことを言うと、ギャグがすごく好み

絵がかわいいのはもちろんなのですが、純粋にギャグ4コマとしても笑わせていただきました。これで4コマ初挑戦とは思えません。

作者の羽戸らみさん。絵の雰囲気も含めて、今や4コマ界を代表する作家になった桐原小鳥さんのようになる素質を秘めた方だと期待しています。

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「シリウス乙女座」は、「第2のコミックキューン」なのか?

シリウス乙女座の、「雑誌の中に4コマがまとめて載っている」という形態、何かに似ていないでしょうか?

そう。KADOKAWAの「コミックアライブ」の雑誌内4コマ誌として誕生し、その後独立創刊した、「コミックキューン」です。

2016年10月。講談社が、「まんが4コマぱれっと」を出版する一迅社を完全子会社化したのは記憶に新しいところ。

その直後にシリウス乙女座が登場したのは、講談社が4コマ事業に本格参入しようとしていることを示唆しているのではないでしょうか。

……と、去年の今ごろ書いていれば、説得力があったかもしれません。

シリウス乙女座をキューンの再来と言うには、まず作品が少なすぎます(キューンは創刊号の時点で100ページ近くあった)。

掲載作の変動も、2017年9月号で『おおきなのっぽの、』が終了したのみで、途中から新連載が始まった作品はまだありません。

また、そもそもシリウス編集部が「シリウス乙女座」をあまりプッシュしていない

私はともかく、アンテナ感度が高い4コマファンの方々ですら、先月末までほとんど話題にしていなかったんですからね…。

今回レビューした通り、個々のクオリティは4コマ専門誌の作品にも引けをとらないので、もっと宣伝してもよさそうですが。

ともあれ、読む作品の選択肢が増えるのは、4コマ読者にとっては素直に喜ばしいところ。

キューンの再来は言いすぎ、という自分の考えが良い方向で外れるのか、今後も注目していきたいと思います。

 

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