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マンガ

まんがタイムジャンボ、まんがタイムファミリー休刊について思うこと

こんにちは。「まっしろライター」のましろ(@mashirog)です。

ご存知の方も多いと思いますが、「まんがタイムジャンボ」と「まんがタイムファミリー」の休刊が発表されました。

 

「まんがタイムきららミラク」休刊時に書いた記事と同じように、今回も「ジャンボ」と「ファミリー」がどのような4コマ誌だったのかを振り返りたいと思います。

ただ、ミラクの休刊はできるだけポジティブに解釈するよう努めましたが、今回はそうもいかないかもしれません。

はっきり書くと、タイム系の4コマ誌、大丈夫? ということです。

タイム系というか、芳文社というか、4コマ誌というか……。

ジャンボとファミリーの歴史をふりかえってみる

まずは、まんがタイムジャンボとまんがタイムファミリー、それぞれの雑誌の歴史や特徴について。

4コマ好きの方には「それくらい知ってるよ」と思われそうな内容ですが、逆に「『まんが○○』って4コマ誌が多すぎて区別がつかん」という方もいる気がするので。

 

とはいえ、自分が把握しているのは、せいぜい2010年以降の話です。それ以前の歴史は、もっと詳しい方に譲ります。

ファミリーなんて、創刊時はまだ生まれていませんでしたし……。

 

まんがタイムジャンボ~「萌え」と「ファミリー」の真ん中で~

まんがタイムジャンボは、1995年4月に独立創刊されました。

まんがタイムファミリーも含めた芳文社のファミリー4コマ誌(以下「タイム系」)6誌の中では、最も創刊年が新しい雑誌です。1990年代初頭から増刊号としては発行されていたみたいですが、ややこしくなるので割愛。

そのためジャンボには、「新人4コママンガ家の発掘」「新しい4コマ表現への挑戦」という使命が課せられていたようです。

「新しい4コマ表現」とは、細かい部分を抜きにすると、つまり「萌え4コマ」「ストーリー4コマ」です。

今のきららで連載されているようなものではなく、「かわいい絵柄で、ストーリー性のある4コマ」くらいのイメージですが、それでも当時は衝撃的だったはず。

ミラクが「新しい萌え4コマ」を追求した結果、KADOKAWAの「コミックキューン」が生まれたように、ジャンボの存在が「きらら系」萌え4コマ誌の礎になったのは間違いないでしょう。

現在も第一線で活躍されている師走冬子さんの芳文社デビューも、ジャンボの「新人4コマ鑑定団」という企画でした。

他に、ジャンボで4コマデビューしたマンガ家さんの中で個人的に印象深いのは、瀬田ヒナコさん桐原小鳥さんでしょうか。

どちらの方も、最初に見たときは「この絵柄でファミリー4コマを描くの?」と思いましたが、今では全然違和感がありませんからね。

 

きらら系の隆盛によって「萌え4コマ」がひとつのジャンルとして定着したことで、ジャンボは当初の役割を終えますが、その後は「萌え4コマとファミリー4コマの中間」という新しい立ち位置を確立します。

自分も、きらら系を中心に読んでいた時期でも、タイム系の中でジャンボだけは買っていました。

ちなみに、ジャンボと「まんがタイム」では、読者の年齢層が10歳ほど違うそうです。

 

まんがタイムは中高年、きらら系は10代~20代の読者が多いと思われるので、数字の面から見てもジャンボは「中間」の雑誌だったのかもしれません。

 

まんがタイムファミリー~「ファミリー」と銘打ちながら「萌え」寄りという罠~

まんがタイムファミリーの創刊は1983年9月。

すでに休刊したものを含めても、まんがタイム、まんがタイムオリジナルに次いで創刊年が古いタイム系4コマ誌です。

雑誌名に「ファミリー」とついているように、家族を題材にした作品がメイン……だったのは、昔の話。

こちらもジャンボと同様、近年は「萌え」と「ファミリー」の中間くらいの作品が目立つようになりました。

ジャンボに比べると、ファミリーには女性らしいというか、華やかな絵柄の4コマが多かった気がします。

今の路線になったのは、2010年に『ぽちゃぽちゃ水泳部』が表紙を飾るようになったあたりからでしょうか。

その跡を継ぎ、現在まで表紙を担当してきたのは『大家さんは思春期!』で、「萌え寄りのファミリー4コマ誌であるまんがタイムファミリー」という地位は揺るぎないものになります。

 

しかしながら、ジャンボとファミリー以外のタイム系4コマ誌にも、きらら系に載っていても違和感がなさそうな作品はいくつもあります。

過去には荒井チェリーさんや湖西晶さん、最近では枕辺しょーまさんなど、実際にきらら系とタイム系の両方で同時に連載を持っていた方もいらっしゃいました。

もはや、「萌え4コマ」と「ファミリー4コマ」という分け方がナンセンス。まんがタイムファミリーは、そうした4コマ界の動向を体現している雑誌だったのではないでしょうか。

 

ジャンボとファミリーが休刊した理由を考えてみる

続いて、一番の関心事である、「なぜタイム系6誌の中で、ジャンボとファミリーの2誌が休刊したのか」を考えてみたいと思います。

「売れてないからでしょ?」だけで終わってしまうと話が続かないので、「芳文社の4コマ専門誌」という事情をふまえて。

 

理由1:売れていないから

そうは言いつつ、まずはこの件について触れておかなければいけません。

全国出版協会の調査によると、2017年の紙の雑誌の販売金額は、前年比で1割減。ピークだった1995年の3割未満にまで減っているとのこと。

出版不況と言われる中、タイム系4コマ誌だけが売れ行きを伸ばしているとは考えづらいため、発行部数の落ち込みが休刊の理由のひとつであることは間違いないでしょう。

また、日本雑誌協会のデータによると、タイム系6誌の発行部数は以下の通りです。

タイム系4コマ誌の発行部数
  • まんがタイムオリジナル 150,000部
  • まんがタイム 120,000部
  • まんがホーム 120,000部
  • まんがタイムファミリー 100,000部
  • まんがタイムスペシャル 80,000部
  • まんがタイムジャンボ 70,000部

確かに、ジャンボとファミリーは少ない部類に入りますが、ファミリーよりもタイスペの方が少ないので、単純に「売れていない下2つを切った」わけではなさそうです。

あと、調べておきながら、この発行部数って本当? と思いました。きららやキャラットでさえ8万部なのに、タイム系の4コマ誌がそれ以上売れているの? と。

自分のフォロワーの方がきらら系に偏っているため、Twitterでタイム系の話題を目にする機会が少ないのでしょうか。あるいは、発行部数≠実際に売れている数なのか……。

 

理由2:きらら系との差別化のため

今回の休刊に関するニュースの中で、特に気になったのがこちらの記事。

this.kiji.is

まんがタイム編集部は、両誌について「役目を終えたと判断した」としている。

このコメント、ソースどこ? ちゃんと取材した? 想像で書いてない? と難癖をつけたくなりますが、ちゃんとしたコメントだと仮定して。

両誌の「役目」とは何か?

「紙の雑誌」みたいな意味でないとすれば、やはり「萌えとファミリーの中間に位置する4コマ誌」ではないでしょうか。

先にも書いた通り、萌え4コマとファミリー4コマの境界線はほぼなくなってきています。

まんがタイムも、表紙こそ『おとぼけ部長代理』ですが、中には萌え寄りの作品もあります。『大家さんは思春期!』も、以前からファミリーとまんがタイムの2誌で連載されていました。

萌え4コマだけを読みたい人はきらら系を買えばいいし、そうでない人は、乱暴に言えばタイム系のどの4コマ誌を買っても大差ない。

わざわざ「中間」の4コマ誌を選ぶニーズはなくなった。その意味で、ジャンボとファミリーは「役目」を終えたのかもしれません。

また、これからも刊行が続くタイム系4誌のコンセプトは、以下のような感じだと考えています。

タイム系4コマ誌のコンセプト
  • まんがタイム:王道
  • まんがタイムオリジナル:王道、まんがタイムよりはラブコメが多い?
  • まんがホーム:家族、女性向け
  • まんがタイムスペシャル:ラブコメ

ジャンボとファミリーの休刊に伴い、連載作品の大半はそのまま最終回を迎えましたが、残りの作品はこれら4誌への移籍が決まっています。

 

この振り分けからも、各雑誌のコンセプトがうかがえます。恋愛要素が強い作品はタイスペ、かわいい絵柄の作品はホーム、長寿作品やノンジャンル作品はまんがタイムとタイオリ。

ジャンボとファミリーで人気が高かった作品が加わることで、4誌のコンセプトがより強化される。

また、「中間」の両誌がなくなることで、きらら系とタイム系の隔たりが大きくなる。

隔たりというと聞こえは良くありませんが、「差別化」と考えれば悪い話ではありません。

タイム系にとってきらら系は、同じ芳文社の4コマ誌であるだけでなく、最大のライバルでもありますからね。

個人的には、まんがホームの連載陣がかなり充実しそうだなと期待しています。元々、『マツ係長は女ヲタ』など好きな作品が多い雑誌なので。

 

理由3:まんがタイム編集部の負担軽減のため

4コマ専門誌は、2018年3月時点で18誌発行されています。来月からはジャンボとファミリーが減って16誌に。

これって、やっぱり「4コマ誌多すぎ」という認識になるのでしょうか。

個人的には全然多くない、むしろ少ないとすら思っていますが。

だって、養豚の専門誌が4誌あるんですよ?

4koma.takeshobo.co.jp

牛の専門誌、鶏の専門誌もそれぞれ3誌あるらしいので、「家畜」カテゴリーで考えれば合計10誌。

それに比べたら、4コマ専門誌が16誌あっても問題ないはず。マンガ雑誌が200誌以上ある中での16誌ですからね。

しかし、その中の半数近くが芳文社から発行されているのは、少しバランスが悪いかもしれません。

ミラクが休刊した理由は人手不足だったとも言われていますし(サイゾーの記事なので、信憑性は疑問)、雑誌の数を減らすことで編集者の方々の負担を減らし、ひとつひとつの雑誌のクオリティを上げるという戦略は充分に考えられそうです。

また、言われてみると確かに……と膝を打ったのが、タイム系の6誌はきれいに5日間隔で発売されていたということ。

 

ジャンボとファミリーが休刊すると、まんがタイム(7日)からタイスペ(22日)までの間に2週間の空白ができる。

この期間に発売される4コマ誌は、竹書房のまんがライフオリジナル(11日)とまんがライフ(17日)だけになります。

再編が落ち着いたら、1週間ごとにタイム系4コマ誌が店頭に並ぶよう、発売日の調整が行われそうですね。

 

芳文社にお願いしたいことを書いてみる

最後に、芳文社、というかまんがタイム編集部に対して自分が思っていることを少し。

提言なんて大それたものではなく、ただの4コマ好きのひとりごとです。

 

ネット事業にもっと力を入れてほしい

タイム系4コマ誌のどれかが休刊することは、予想がついていました。

先月号あたりから「次号最終回」の作品が目立ってきていたり、Twitterでフライング情報が上がっていたりしましたし。

まんがタイムとコンセプトが被るタイオリが危ないかな? と思っていたので、その予想は外れましたが。

同時に、別の可能性があるとも考えていました。

タイム系のどれかでなく、紙の雑誌は全部休刊。残りの作品をすべて集めて、タイム系4コマ専門のウェブコミック配信サイトが立ち上がる。

前例はいくつもありますし、昨今のマンガ業界の情勢をふまえると、それくらい大々的な発表があってもおかしくない気がしていたのです。

誤解を恐れずに言うと、芳文社、特にまんがタイム編集部は、ネットを軽視しています。

「まんがタイム彩」があるじゃないか、と言われるかもしれませんが、個人的にあれはネットをやっているうちに入らないと思います。一部の連載作品をただ再掲載しているだけなので。

Twitterアカウントも、作者のツイートのRTもしないで自分たちの宣伝しかせず、4コマ誌を発行している他の出版社と比べても明らかにやる気がない。

それらの会社のネット施策も完璧ではないものの(竹書房は「まんがライフGIGA」のiOS版を早くリリースしてほしい)、本当に「何もやっていない」レベルなのは芳文社だけです。

※きらら系は、「きららベース」オリジナルの連載作品もあるので、まだマシだと思います。

某違法マンガサイト(検索でヒットさせたくないので名前は出さない)に、タイム系4コマ誌は載っていません。

そもそも電子版を発行していないからです。これは、きらら系や、竹書房の4コマ誌も同じですが。

自分も頭が固い人間なので、「紙の雑誌に未来はない」「月額制の読み放題アプリが最適解」みたいな意見を見ると、うーん、そうなのかなあ……と首をひねってしまいます。

ただ、4コマ誌こそ、ネットに力を入れるべきだと思うんですよね。

かつては、通勤・通学中の電車での暇つぶしとして、4コマ誌を買う人もいたようです。気軽に読めるし、他のマンガ雑誌よりも薄くてカバンに入れやすいですからね。

今、電車に乗って周りを見ると、4コマ誌はおろか、他の雑誌や新聞を読んでいる人すらほとんどいません。みんなスマホをいじっている。

そのスマホで自分たちの4コマを読んでもらおうと、なぜ考えないのでしょうか?

絶対相性がいいでしょう? 縦長で、上から下にまっすぐ読める。4コマは、スマホで読むためのフォーマットだと言っても過言じゃない。

フォーマットだけではありません。

ストーリー性のある作品も増えてきたとはいえ、タイム系の4コマは、昔ながらの1本完結型のギャグ4コマが豊富。細切れで読むには最適です。

この部分は、きらら系はもちろん、竹書房や双葉社の4コマ誌も太刀打ちできない、質的にも量的にもタイム系4コマの強みのはず。

今回の再編で連載が終わってしまった安堂友子さん木村和昭さんの4コマなんて、まさにうってつけだと思うんですけどね。

特に、安堂友子さん。Twitterにアップされている4コマの拡散数、ちゃんと見てますか、まんがタイム編集部さん?

 

 

雑誌アンケートの出し方を見直してほしい

ウェブコミックの件しかり、芳文社はどうもアナログ感が目立ちます。

雑誌のアンケートもそのひとつ。ハガキに手書きしないといけないのはもちろん、切手代は読者持ち。これは、タイム系もきらら系も同じ。

他の出版社の4コマ誌は、ネットからも応募できるようにしたり、料金受取人払郵便のハガキを備えつけにしたりして、アンケートの回収率を高めるための工夫をしています。

双葉社のまんがタウンは、「手書きした応募用紙を写真に撮ってメールで送る」という謎の仕様ですが、色々考えた上でこの方式にしているようです。

 

自分も、雑誌のアンケートはできるだけ出したいと思いつつ、芳文社のアンケートはどうしても応援したい作品があるときしか出せないことが多いです。とこみちさんの『アカリ様』とか。

熱意が足りないと言われれば返す言葉もありませんが、面倒くさいものは面倒くさい。

読者にアンケートを出してほしいのであれば、他の出版社のように出しやすくすればいい。

話はそれますが、ブログで収益を上げようと考えている人は、アドセンス広告の位置を調整したり、アフィリエイトから商品を買ってもらえるよう文章をリライトしたりしているはずです。

個人のブロガーでさえその程度のことはやっているのに、なぜ芳文社ほどの会社がやろうとしないのか、理解できません。

面倒くさいアンケートをわざわざ送ってくれるのが本当の読者。片手間で送られたアンケートは信頼できない。と、厳選する目的であえて改善していないのかもしれない。

しかし、厳選するあまり、母数が少なくなりすぎたら意味がありません。

で、厳選した結果をもとに、今回の移籍させる作品と完結させる作品を選んだのであれば……、それこそ信頼できないアンケートだなと思います。

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おわりに

今までにも、4コマ誌が休刊することは何度もありました。

2010年以降だけでも、昨年のミラクを始め、まんがタイムラブリー、竹書房のまんがくらぶオリジナル、一迅社のまんがぱれっとLite、KADOKAWAの4コマnanoエース。

ただ今回は、これまでとは事情が違うと思っています。マンガ界、出版業界の置かれている状況が違う。

その状況で、いつものように、ただジャンボとファミリーの2誌が休刊しただけ。

ウェブコミックの件は、もしかしたら近いうちに新しい情報が出てくる可能性もありますが、4コマ好きのひとりとして不安を感じずにはいられません。

もう一回言います。タイム系の4コマ誌、大丈夫?

タイム系の残り4誌に移籍する作品は、引き続き応援させていただきます。それぞれの雑誌を底上げする役割を担ってくれるものと期待しています。

残念ながら、休刊にあわせて最終回を迎えた作品の作者の方々も、新天地でのご活躍をお祈りいたします。

安堂友子さんの作品がぶんか社で電子書籍化されたり、津々巳あやさんの『人気マンガ家になるための15の法則』がKADOKAWAのComicWalkerに移籍したりするように、出版社の垣根を超えてこれらの方々を支えていってほしいと思います。

もちろん、ジャンボとファミリーの編集部の方々も。ジャンボは23年、ファミリーは35年にわたる刊行お疲れさまでした。特にジャンボは、タイム系の中でもよく購読していました。

しかし、自分が好きだったのは、ジャンボやファミリーに載っていた作品たちであって、雑誌そのものではありません。

どれだけ面白い作品が載っていても、読まれなければ知られることもない。

アンケートが大事と言われても、出しづらければ誰も出さない。

釈迦に説法でしょうが、それだけを書き残して、記事を締めます。

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