こんにちは。「まっしろライター」のましろ(@mashirog)です。
先月、芳文社の4コマ誌「まんがタイムジャンボ」と「まんがタイムファミリー」が休刊したとき、こんな記事を書きました。
お世辞にも品の良い文章とはいえませんが(特に後半)、それだけ芳文社の4コマ事業を案じているということでお許しください。
この記事を書いてからもなお、芳文社の4コマ誌はすべて読んでいますし、Twitterアカウントも欠かさずチェックしています。
その中で最近、「あれ、芳文社なんか変わった?」と感じたできごとがいくつかあったので、ここに書き残しておきます。
気のせいか。それとも、芳文社が「このままではいけない」と、重い腰を上げようとしている予兆なのか。
答えが分かるのは、数年後かもしれません。
タイオリにワイド4コマが載った
「タイオリ」こと、「まんがタイムオリジナル」。
芳文社の4コマ誌の中では、本家「まんがタイム」よりも発行部数が多く、連載陣も『ラディカル・ホスピタル』『小森さんは断れない!』など盤石です。
もしもタイオリが休刊する事態になれば、いよいよ芳文社の、というより4コマ界の終わりかもしれません。
それはさておき。先月末のタイオリ2018年5月号に掲載された『委員長の愛はちょっとおかしい』(著:もすこ)を読んで驚きました。
途中までは、従来の1ページ2本の4コマですが、最終ページだけワイド4コマ(横長の4コマ)になっているのです。
作者のもすこさんは、ガンガンJOKERで連載中の『久住くん、空気読めてますか?』や、Twitterの「微妙に優しいいじめっ子」ではワイド4コマで描かれているため、この形式の方が得意なのかもしれません。
引用:『委員長の愛はちょっとおかしい』(「まんがタイムオリジナル」2018年5月号78ページ)
1ページとはいえ、芳文社の4コマ誌にワイド4コマが載るのは、おそらく今回が初めてではないでしょうか。
竹書房やKADOKAWAの4コマ誌が、数年前からワイド4コマを連載している中でも、芳文社だけは従来の形式の4コマにこだわっていました。
そういう方針があるかもしれないし、単に「芳文社ではワイド4コマを描けないだろう」と、作者の方々が空気を読んでしまっていたのかもしれない。
たかが1ページ、されど1ページ。これをきっかけに、「あ、描いてもいいんだ」と、芳文社の4コマ誌でワイド4コマの連載が始まる可能性もありそうです。
キャラが多い、絵が繊細な作品はワイド4コマの方が映えるので、表現の幅が広がるのではないかと思います。
きららMAXに普通のコマ割りのマンガが載った
春アニメの原作である『こみっくがーるず』が連載されている、「まんがタイムきららMAX」。
このブログでよく言及している『どうして私が美術科に!?』も掲載されていて、きらら系の萌え4コマ誌の中でも連載陣がかなり充実していると思います。
(無印の「きらら」はもう少しがんばってほしい)
特に、個人的に一番注目しているのが、『サジちゃんの病み日記』(著:アサギユメ)。
第1話のカラーページでヒロインが自傷行為をしていたりして、「これは萌え4コマなのか?」と思うくらいドギツいヤンデレ描写があり、いつもハラハラしながら読んでいます。
作品の詳しい内容は、単行本発売時のレビューで語るとして。今回見ていただきたいのは、2018年5月号のこのページです。
引用:『サジちゃんの病み日記』(「まんがタイムきららMAX」2018年5月号66ページ)
最初の2ページが、普通のストーリーマンガのようなコマ割りになっています。
タイム系には、4コマではないショートコミックもありますが、きらら系の作品は基本的にすべて4コマ形式です。
例外は、アニメ化作品のレポートマンガや、かつて掲載されていた竹本泉さんの作品くらいでしょうか。
時おり見かける大ゴマや見開きページも、四角形である場合がほとんどでした。
ワイド4コマしかり、ジャンボとファミリーが休刊した直後にこうした現象を続けて目にするのは、ただの偶然だろうか? と考えてしまいます。
描き方次第では、ワイド4コマは「手抜き」と受け止められる可能性がある。普通のコマ割りのページも、増やしすぎると4コマ誌に載せる必然性がなくなる。
しかし、萌え4コマやストーリー4コマなど、4コマの中身が変わってきているのに、外側をいつまでも変えなくていいはずはありません。
文字通り、「枠にはまらない」4コマが増えていってくれることを願います。
Twitterアカウントの雰囲気が変わった
私はTwitterで、芳文社の4コマ関連のアカウントをフォローしていますが、情報収集のためのフォローと割り切っています。
リプライには返事しませんとわざわざプロフィールに書き、ロボットのようにWEBマンガの更新や新刊コミック発売の告知ツイートしかしない。
はっきり言ってしまうと、つまらない。以下の記事で書かれている、「オワコンな公式アカウント」を地で行っています。
しかし、これらについても、先月あたりから少し様子が変わってきました。
意識が変わったのか、担当者そのものが変わったのかは分かりませんが、ひとつずつ見ていきたいと思います。
まんがタイム編集部(@mangatime_sp)
いわゆる「タイム系」の、「きらら」とついていないファミリー4コマ誌のアカウント。
先月から今月にかけて、作者個人のツイートをRTしているのをよく見かけます。以下のツイートなど。
【カウントダウン】4月6日発売!ついに本日発売です。😊
「穂積くんは猫に勝てない」本屋さんが開いたらよろしくお願いします~!
配信見てくださりありがとうございました!
書店特典は4種類描かせていただいてます~。#穂積くんは猫に勝てない
2枚めの画像はおまけ pic.twitter.com/kLIZQZfZmA— ほしな*コミカライズ連載 (@hoshina000) 2018年4月5日
2月以前のツイートをさかのぼってみても、それまではクール教信者さんや梨尾さんのツイートをたまにRTしているくらいだったので、明らかに増えています。
以下のツイートで知ったのですが、出版社によっては「特定の作者のツイートだけをRTすると不公平になるので一切RTしない」というところもあるようです。
もう関係ない某社の編集さんと昔、作品の続刊の話をした時に「1巻が売れるしかない、作家さんが勝手にその作品(書き下ろし)をWebに公開とかして評判になれば…」などと言われたから「じゃあせめて公式TwitterでRTして下さい」と言ったら「不公平になるのでできません」って言われて大草原
— 津々巳あや (@aya67b) 2018年3月16日
芳文社がそうだったのかは分かりませんが、RTしてくれるようになったのはありがたいです。作者個人のアカウントは、フォローできていないことも多いので。
まんがタイムきらら編集部(@mangatimekirara)
「きらら系」萌え4コマ誌のアカウント。
フォロワー数はまんがタイム編集部の20倍近いのに、雑誌の発行部数は逆にタイム系の方が多いんですよね……。
タイム系の購読者はあまりTwitterを使っていないとか、タイム系の方がコンビニに置かれやすいとか、そのあたりが理由なのでしょうか。という話は置いておいて。
今までは告知系のツイートばかりだったのに、先月あたりから「中の人」の感情が伝わってくるツイートをちらほら目にするようになりました。
3/27(火)に発売となる、池内たぬま先生「エクソシストと首輪の悪魔」第1巻の書店特典一覧をご用意しました! 購入をご検討の際はぜひ参考にしてください。キャラットの連載ではまず見られない服装も多いですが、誰に着せられてるんでしょうね???(D) pic.twitter.com/dmpjJkhqny
— まんがタイムきらら編集部 (@mangatimekirara) 2018年3月24日
たぬま先生が自分で特典まとめ画像を作られていたことをいま知りました! しかもそっちの方がかわいい! 皆さま向こうをご覧ください!(D)
— まんがタイムきらら編集部 (@mangatimekirara) 2018年3月24日
ここまで言っておきながら、肝心の池内たぬまさんのツイートをRTしていないあたり、片手落ち感は否めませんが……。
作者のツイートをRTするようになったけど告知ツイートしかしていない、まんがタイム編集部のアカウントと、足して2で割ればちょうどよくなる気がします。
芳文社 電子書籍(@houbunshadenshi)
4月2日にできたばかりの、新しいアカウント。
その翌日、4月3日に電子版が配信される『恋する小惑星(アステロイド)』と『夢見るプリマ・ガール!』2巻の告知がなかなか行われなくてやきもきしましたが、お昼ごろにツイートされてほっとしました。
まんがタイムKRコミックス『夢見るプリマ・ガール』2巻(昆布わかめ)『恋する小惑星(アステロイド)』1巻(Quro)
本日より各電子書店にて順次配信開始!#芳文社電子 #電子書籍 #新刊 pic.twitter.com/aL4u5YaGMO— 芳文社 電子書籍 (@houbunshadenshi) 2018年4月3日
電子版なのだから、予約投稿で0時にツイートするくらいはしてほしい気もしますが……、開設したばかりのアカウントなので、今後に期待したいと思います。
何より、WEB事業に消極的だった芳文社が電子書籍告知用のアカウントを作ったこと自体が、大きな一歩ではないでしょうか。
『ゆるキャン△』6巻の電子版を先行配信してみたり、やってできない会社ではないはずです。今までやっていなかっただけで。
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おわりに
ワイド4コマなんて、スクウェア・エニックスは6年以上前から『月刊少女野崎くん』などで採用しています。
Twitterアカウントの運用も、双葉社の月刊まんがタウン編集部(@mm_manga_town)はツイートに人間味があって好感が持てます。
この記事で、「芳文社の変化」と大げさに書いた内容のほとんどは、今さらすぎることだと思います。
だからこそ意味がある。
100が101になってもあまり驚かない。けれど、0が1になったときのインパクトははかりしれません。
これらの分野に関しては0に近かった芳文社に1が足されたとき、何が起きるのか。その行く末を見届けたいと思います。